2024年6月25日から放送が開始したカンテレ制作のテレビドラマ『あの子の子ども』。
7月23日に放送された第5話『半分こできない現実』を視聴したので流れと感想を書いていきたいと思います。
内容にはネタバレを含みますので話の詳細を知りたくない人は注意してください。
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『あの子の子ども』は別冊フレンドの大人気漫画が原作のドラマとなっています。
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5話『エコー映像に映る心臓』あらすじ 公式
クリニックで診察を受け、エコー映像を目の当たりにする福(桜田ひより)。いろいろな感情が湧き上がる福に、医師の野田(板谷由夏)は…
福(桜田ひより)から妊娠検査薬を使ったところ、陽性だったことを打ち明けられた宝(細田佳央太)は、動揺しながらも、1人で不安を抱え、誰にも相談できなかった福の心中を察して抱きしめるが、混乱する福は宝の言葉に思わず逆上。本心とは裏腹の言葉を次々とぶつけた末、宝の手を振り払って帰宅し、翌日には学校へ行くふりをして、以前にアフターピルを処方してもらおうと訪れたクリニックへ1人で向かう。
診察の順番を待つ間、福は待合室にいる妊婦や小さな子どもを見て罪悪感にかられる。診察を前に緊張が走る福だったが、診察室で待っていた医師の野田由紀(板谷由夏)は、そんな福の胸中をおもんばかってか、淡々とした口調で福を診察台へ。やがて、野田の口から妊娠していることを告げられた福は、思わず息をのみ、その脳裏には宝や晴美(石田ひかり)の顔が思い浮かぶ。さらに、エコーの映像を見せてもらった福は、画面の中で小さく、それでもしっかりと動いている心臓を目にして…。
その頃、前日から連絡がとれない福を探していた宝。かばんには、宝の覚悟と思いがつまった1冊のノートが入っていて——。
カンテレ『あの子の子ども』公式
5話の流れ(ネタバレあり)
婦人科クリニックで問診票を書く福。
「出産を希望していますか」の項目でペンが止まる。そして中絶希望にマルをする。
待合室で見るお腹の大きい妊婦や子供を見て、責められているような罪悪感を抱く。
妊娠確認と妊娠していた場合は中絶希望だと確認され診察に。
診察台に乗り検査をし、妊娠を告げられた。
モニターで映像を確認する。医師は、大きさは1.7ミリだと説明。
福はピクピクと動いている何かについて訊くと「心臓です」と。
診察が終わり改めて説明を受ける。
胎芽は1.7ミリ、妊娠5週後半から6週になると。
そして中絶手術の説明。この病院で行っている吸引法の手術が行えるのは11週7日まで。残り6週間と1日。
早ければ早いほど体の負担は少なくなる。費用は130,000円。
手術を行うにはパートナーの同意とサイン、そして未成年なので保護者の同意とサインが必要だと。
保護者に話しづらいなら理由をつけて連れてきてくれれば私から話すと医師。
クリニックから家や学校に連絡することはない。どんな選択をしても誰にもあなたを責める権利はないと。
福は、いつから命ですかと訊く。学校では中絶は新しい命を奪う行為だと教えられた。
医師は言う。それは高校生の性教育においては必要だが、今のあなたには不要な言葉だと。
事情や状況によって必要な言葉は変わって当然なんだと。
そして福の気持ちに寄り添い、これまでの福の行動を誉めた。完璧だったと。
福の目から溢れた涙は止まらない。次第に声を上げて泣く。
ひとしきり泣いて落ち着いた福は、エコー写真をもらえないかと申し出た。
神社で一人考えていると、宝がやってきた。
宝は福に、具合は悪くないか、飲みものや食べやすいものを持ってきた、電話にも出てくれないから行きそうなところを探して、ここが一箇所目、居てくれてありがとうと矢継ぎ早に言う。
そして福の手を握り、大丈夫と優しく言う。
宝はカバンからノート出して、福に説明する。先ほど病院で説明されたことと同じことを。
宝は自分で調べてノートに書き出していたのだ。受精から現在の週期を計算し、中絶手術ができるリミット、そして中絶にかかる費用の相場、それを今まで貯めた貯金で支払うと。
宝はページを捲る。そこには出産について書かれていた。
出産予定日は1月23日。県立だから退学にはならない。文科省の通達まで調べていた。
出産費用や出産一時金について、高校生がアルバイトできる時間について、それで稼げる金額について。
福は思わず訊く。「宝、部活は」。宝は躊躇なく「辞める」と答えた。
首を振る福に宝は続ける。必要なら学校も辞めて働く、だから福はお金の心配しなくても大丈夫だから。
心配や不安があれば全て調べる。必要な手続きは全部する。福の両親にも自分から話す。何も心配いらないから。
福の不安、一個ずつ潰していくから。優しい笑顔を浮かべ、福の心配を取り払うかのように宝は話した。
宝は全ての可能性を想定して考えて、覚悟を決めてここにいるのだ。
「それでも全然半分こにはならないけど」と宝は涙を堪える。すぐに、ごめん俺が泣くところじゃないと気を取り直す。
「とにかく一緒に病院を探そう」とノートにリストアップした良さそうな病院が書かれた箇所を見る宝。
福はエコー写真をノートの上に出す。そして、行ってきたと言う。
前に宝が見つけてくれたクリニック。5週と5日。もう心臓動いててと泣き出した。
宝は福を抱きしめる。福も宝を抱きしめる。
第5話終了
5話:感想(ネタバレあり)
先週どぎつく福に言われてしまった宝だったけど、言われたことをちゃんと消化して福の気持ちを真剣に考えて、行動して…凄いなって。
福が気持ちとは裏腹な言葉で宝を突き放して、ああいう状態って酷いこととか言っちゃうじゃないですか。
それなのに宝はちゃんと受け止めて、ここまでのことができるって、まだ高校生ですよ?
どれだけ人間ができるのかって話です。素晴らしい人間性だなと。
福が向き合ってくれない時間に、妊娠のことを調べて、現在何週で中絶リミットはいつまでで費用はいくらか、出産の場合は高校は続けられるけどしんどいなら通信、その後の福の進路まで調べて、費用と一時金、部活は辞めてバイト、必要なら退学して働くと。
不安なことは調べるし、手続きも全部するし、おやせの説明も自分がするって。
ここまでたくさんの事を細かく調べて覚悟も決めた上で、それでも福の気持ちを優先して、福がどちらを選んでも自分は寄り添って、できることは全てやるんだと。
福を探してきたときも福の体調を慮って口にできそうなものを買ってきていて、高校生じゃなくてもここまでできる大人だってなかなかいるものじゃないです。
優しさってだけでは語れないです。人間性と愛情の深さでしょうか。凄すぎて言葉が出ないです。
もし自分が高校生で妊娠したなら、宝のような人が相手だったらどれだけ救われるかと思います。
宝が中絶に関する話をしているとき、福の表情は何を思ってるのかなって気になってたんです。宝なりにここまで自分で調べてくれたんだと感謝するのか、中絶を前提に話をしている宝に失望や困惑や怒りがあるのかなとか。
でもページを捲ると出産について。
福自身が揺れている中、宝は出産まで見据えて覚悟をもって話をしてくれている。
そりゃ泣きますよね。どちらに転ぶかわからない不安定な状態でも、ここまで考えてくれたら嬉しくて泣いちゃいます。一人じゃないっていう安心感もあったでしょう。
私も見ていて胸が熱くなりました。
この二人なら大丈夫だと。いや、宝が相手なら大丈夫だと。
少し話は戻りますが、クリニックに院長先生、最初は淡々としてましたが、福の様子を見て徐々に寄り添ってくれましたね。
どんな選択をしても誰にもあなたを責める権利はありませんと念押しし、中絶は新しい命を奪う行為という教えについて、今のあなたには必要な言葉ではないと諭す。
避妊の意識を持ち、避妊具の破損に気がつき、しっかりと危機感を持ち、調べてアフターピルの存在に辿り着き、ここまで来てくれた。自分で妊娠の可能性に気がついて検査薬を買って、自分で調べて、今日ここに来てくれました。完璧ですと。
福の不安な気持ちや後ろめたさや恐怖を理解し、優しく語りかけてくれました。
福が堪えきれず涙を流し、嗚咽を漏らして泣くのは必然ですよね。
福の気持ちを察すれば、どれだけの苦悩があったか想像に難くないです。
毎話考えてしまうのは、自分だったらどうするだろうかということ。
どれだけ不安にかられ、どれだけ苦悩するだろうか。
思考が行き着く先は、不謹慎かもしれませんが「自分じゃなくて良かった」と思わずにはいられないんです。
でもその安堵感が想像できるからこそ、院長先生の言う「無責任で無謀な性行為への抑止力」になるんだなって。
だから、できるだけ多くの高校生や大学生、『今妊娠を望んでない人』に見て欲しいドラマだなって思います。
次週は妊娠を親に告げる段階に入りますが、高校生での妊娠が当事者だけの問題ではないということを思い知らされるのでしょう。
いろいろな立場に想いを巡らせながら心して視聴したいと思います。
以上
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まとめ
性教育の教材になり得るドラマですね。
過去にもそういった題材の作品はありましたが、フォーカスするところが違うので優劣の話ではなく、あくまで教材としてはこのドラマが一番適しているなと思いました。
まだ結末もわかりませんが、今のところ。
次回は親を巻き込んで、というか未成年かつ高校生なので、当然親の見解というものが重要になってくるのですが、どういった展開になるんでしょうか。
楽しみでありながら気が重いです。